格
格とは、名詞に付けて主語や目的語などの文章中の役割を示すマーカーである。
日本語では格助詞を付けることで格を示している。 例えば「太郎が次郎を殴った。」という文では、 「が」によって太郎が主語であることを示しており、 「を」によって次郎が目的語であることを示している。
ピスカでは名詞の語尾に格接辞を付けることで格を示している。
格変化
ピスカでは格詞と格接辞によって格を表す。 格詞と格接辞の組み合わせとそれぞれの格の対応表を示す。
名称 | 格接辞 | 格詞 | ||
---|---|---|---|---|
基本格 ∅ | 副次格 ra | 時空格 mua |
||
1格 | ∅ | 主格 ~が | (処格) ~で |
|
2格 | -es/-s | 対格 ~を | 対象格 ~と比べて | 処格 ~で |
3格 | -oj/-j | 属格 ~の | ||
4格 | -ix/-x | 奪格 ~から | ~にとって | 出格 ~から |
5格 | -ef/-f | 与格 ~に | 向格 ~に |
|
6格 | -e | 具格 ~で | 経由格 ~を通って |
|
-! | 呼格 ~よ | |||
主対格 ~が自身を |
格詞と格接辞を用いて以下のように格を示す。語末が開音節のときは右側の接辞を、語末が閉音節のときは左側の接辞を用いる。
- dixus
- 林檎を
- mua Xoranes
- ショーランで
主格 <N>
主格は格接辞を付けずに表す。文法書では<N>と表記する。
- 主語
- ca Mixa es.
- 私はミーシャです。
- 補語
- ca Mixa es.
- 私はミーシャです。
対格 <Ns>
対格は、語末が閉音節のときは<-es>、語末が開音節のときは<-s>を付けて表す。文法書では<Ns>と表記する。
- 目的語
- ca junes nota.
- 私は水を飲む。
属格 <Nj>
属格は、語末が閉音節のときは<-oj>、語末が開音節のときは<-j>を付けて表す。文法書では<Nj>と表記する。
- 連体修飾語
- caj najuta
- 私の兄弟
奪格 <Nx>
奪格は、語末が閉音節のときは<-ix>、語末が開音節のときは<-x>を付けて表す。文法書では<Nx>と表記する。
- 起点
与格 <Nf>
与格は、語末が閉音節のときは<-ef>、語末が開音節のときは<-f>を付けて表す。文法書では<Nf>と表記する。
- 間接目的語
- dem dixus dif bicit.
- この林檎をあなたにあげます。
具格 <Ne>
具格は、語末に<-e>を付けて表す。文法書では<Ne>と表記する。
- 間接目的語
- piskae dimpa.
- ピスカで話す。
呼格 <N!>
呼格は、語末に<-!>を付けて表す。文法書では<N!>と表記する。 いわゆる「呼格の強調符」と呼ばれる強調符の用法である。 強調符は発音しないため、読む上では主格と区別ない。
- 呼びかけ
- Mixa! xajun.
- ミーシャこんにちは。
対象格 <ra Ns>
対象格は、格詞<ra>と、語末が閉音節のときは<-es>、語末が開音節のときは<-s>の格接辞を付けて表す。文法書では<ra Ns>と表記する。
- 比較対象
- dema ra pemas moxon.
- これはあれと比べて大きい。
処格 <mua Ns>
処格は、格詞<mua>と、語末が閉音節のときは<-es>、語末が開音節のときは<-s>の格接辞を付けて表す。文法書では<ra Ns>と表記する。 また、カジュアルな表現として<mua N>と1格で表現されることもある。
- 動作の場所、時間
- ca mua jarjes junes nota.
- 私は池で水を飲む。
- 存在の場所、時間
- mua jarjes rjuqa et.
- 池に魚がいる。
出格 <mua Nx>
出格は、格詞<mua>と、語末が閉音節のときは<-ix>、語末が開音節のときは<-x>の格接辞を付けて表す。文法書では<mua Nx>と表記する。
- 開始の場所、時間
- tu mua pem riderix rjuditejs.
- 彼はあの島から泳いできた。
上の例では<pem mua riderix>としてもよい。
向格 <mua Nf>
向格は、格詞<mua>と、語末が閉音節のときは<-ef>、語末が開音節のときは<-f>の格接辞を付けて表す。文法書では<mua Nf>と表記する。
- 到達の場所、時間
- ca cas mua 6on fejef naja.
- 私は6時まで寝る。
経由格 <mua Ne>
経由格は、格詞<mua>と、格接辞<-e>を付けて表す。文法書では<mua Ne>と表記する。
- 経由の場所
- dem qifer mua Osakae mua Kjobaxif tajnit.
- この電車は大阪を経由して京橋に行く。